やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2025/12/23
デビットカード取引における印紙税の取扱い

[相談]

 私は、個人事業でパーソナルトレーニングジムを経営しています。
 当店では、売上代金が5万円以上の領収書には原則として印紙を貼付しております。
 ところで、デビットカード取引の場合、その口座引落確認書(※)には(売上代金の記載金額が5万円以上であっても)印紙を貼付しなくてよいことは知っているのですが、それとは別に、デビットカード取引において作成・交付する「領収書(レシート)」に係る印紙税の取扱いはどのようになっているのでしょうか。その概要を教えてください。

(※)口座引落確認書とは、デビットカードシステムの加盟店が、デビットカード取引(即時決済型)により支払いを受けた際に、顧客の口座から代金が引き落とされたことを確認するため、専用端末から出力してその顧客に交付する文書を指します。

[回答]

 ご見解のとおり、デビットカード取引において作成、交付する文書のうち、「口座引落確認書」については、原則として印紙税は不課税となります。
 また、デビットカード取引(即時決済型)において作成・交付する「領収書(レシート)」は、印紙税の課税文書となります。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.領収書に課される印紙税の概要

 印紙税法上、@売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書、A金銭又は有価証券の受取書で@の受取書以外のものには、原則として、印紙税を課すると定められています。

 また、上記@の「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」とは、資産を譲渡し、もしくは使用させること(その資産に係る権利を設定することを含みます)又は役務を提供することによる対価として受け取る金銭又は有価証券の受取書をいう、と定められています。

2.デビットカード取引における印紙税の取扱い

@口座引落確認書

 デビットカード取引には、「即時決済型」と「信用取引型」の2種類がありますが、このうち「即時決済型」のデビットカード取引において、加盟店が、顧客の銀行口座から支払代金が引き落とされた事実を確認するために作成し、交付することとしている文書を「口座引落確認書」といいます。

 この「口座引落確認書」は、顧客のキャッシュカード発行銀行の口座から支払代金が引き落とされたという事実のみが記載されているものであると認められることから、原則として、印紙税の課税文書である上記1.@の「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」その他の印紙税の課税文書には該当しないこととされています。

 ただし、標題が「口座引落確認書」であっても、代金の受領事実を証明する目的で作成されるもの(例:「口座引落確認書」と「領収書」が1通にまとめて記載されているもの)は、上記1.@の「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」に該当し、印紙税の課税文書となりますのでご注意ください。

A領収書(レシート)

 国税庁によれば、デビットカード取引(即時決済型)において、@の口座引落確認書とは別に「領収書(レシート)」を作成・交付する場合には、その領収書(レシート)は上記1.@の「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書」に該当し、印紙を貼付する必要があることとされています。

 この点、クレジットカード取引における領収書(レシート)については、領収書(レシート)にクレジットカード利用等である旨を記載することを要件として印紙税は不課税とされていますが、デビットカード取引(即時決済型)の領収書(レシート)は即時決済を前提としていることから、デビットカード利用等である旨をその領収書(レシート)記載していたとしても、不課税文書とはならないため注意が必要です。

 なお、デビットカード取引のうち「信用取引型」について、口座引落確認書とは別に「領収書(レシート)」を作成・交付する場合には、クレジットカード取引における領収書(レシート)と同様に、クレジットカード利用等である旨を「領収書(レシート)」に記載することを要件として、印紙税は不課税とされていますので、この違いにもご留意ください。

[参考]
印法2、別表第一、印基通別表第一第17号文書1、2など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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